文明の春夏秋冬の運命と、自らの振る舞い

とあるサブスクリプションで、三島由紀夫の豊穣の海の解説動画をみた

いたく、感動した(僕は本は難しくて読み切れない)

たぶん、三島由紀夫の表現したかったことに、非常に近いと思う

豊穣の海で描かれていることは、日本文明の春夏秋冬だ

主人公の青春時代の美しくも哀しい恋愛物語を通じて日本文明の春を描く

別の青年に転生した主人公が、武士道の理想に殉じる物語を通じて日本文明の夏を描く

外国の王女に転生した主人公が、高貴な身ながら愛欲に溺れる様を通じて、日本文明の秋を描く

最後に戦後の日本人に転生した主人公は、身も心も、自分自身が誰かも分からないくらい衰えて、滅び去っていく様を通じて、日本文明の冬ーすなわち最期ーを描く

終始、一貫して主人公はもう一人の主人公の転生とその滅びを「見ている」

それは、読者に「君は日本の滅びを見ているだけでいいのか?」と問いかけているのかもしれない・・・

運命をただ眺めているだけなら「命を懸けて守りたい想い出すら失って、自分が誰かも分からなくなってしまうよ」と